プロジェクト
近年の急速な経済発展にともない、ジャカルタ首都圏では、登録されたすべての自動車とオートバイの専有面積が道路の総面積を超え、昼夜を問わず交通渋滞に悩まされてきました。首都の周辺地域には在来線が走るものの、中心部には鉄道が敷設されていません。そこで、交通渋滞の緩和を目的として、日本とインドネシアの二国間で、ジャカルタ都市高速鉄道南北線の建設事業が決定。日本のSTEPローンを活用することとなりました。1996年から調査を開始し、地下鉄の線形や駅の位置が検討され、2010年の基本設計で1期区間のルートと駅が確定しました。国際入札の後、2012年には施工業者が決まり、2013年8月から工事がスタート。地下・高架の土木工事、鉄道システムの構築や軌道工事、車両の調達まで、すべてのパッケージを日本企業が受注した、初のオールジャパン海外鉄道プロジェクトとなり、施主であるジャカルタ都市高速鉄道(MRTJ)から感謝盾を授与されたほか、令和元年度土木学会賞技術賞を受賞しました。
ジョコウィ大統領が再選を果たしたのが、2019年4月のこと。その1か月前の3月に鉄道が開業し、それ以来、乗客は増加し続け、現在は1日9万人が利用するようになりました(コロナ感染拡大前)。運行時間は早朝の5時30分から深夜12時で、特にラッシュ時には5分間隔で運行しています。車なら渋滞で2時間以上かかっていたルートが、地下鉄を利用すれば片道28分に短縮でき、「時間通りに目的地に到着できる」と市民からも好評です。延伸が予定されている2期工事もすでに一部の工事が開始しており、今後もさらなる交通渋滞の緩和と公共交通機関の利便性向上に貢献していきます。